新型コロナ騒動で自粛している関係で、自宅で映画を観ることが増えました。
さほど映画通ではない僕ですが、戦争映画だけはけっこうな本数を観ています。
そのなかでも、れほど面白い映画は無いと断言できる面白い映画を見付けたのでご紹介します。
映画のタイトルは「陸軍中野学校」です。
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目次
陸軍中野学校とは?
陸軍中野学校という名前を耳にしたことがない方も多いかと思います。
陸軍内に実在したスパイ養成の専門機関のことです。
陸軍中野学校 (りくぐんなかのがっこう)は、諜報や防諜、宣伝など秘密戦に関する教育や訓練を目的とした大日本帝国陸軍の軍学校(実施学校)で情報機関。かつての所在地は東京都中野区中野4丁目付近で、校名の中野は地名に由来する。偽装用の通称号は東部第33部隊。
陸軍中野学校 – Wikipedia
私は、book-offせどりをやっていた10年以上前に、小野田 寛郎著「たった一人の30年戦争」という書籍でその存在を知りました。
小野田 寛郎氏は陸軍中野学校二股分校出身で、戦争末期にフィリピンに従軍しました。
軍籍を残さぬように中野学校卒ではなく、中隊扱いなっています。
フィリピン赴任時の上官からの命令も日本の軍隊らしからぬもので以下のようだった。
「玉砕は一切まかりならぬ。3年でも、5年でも頑張れ。必ず迎えに行く。それまで兵隊が1人でも残っている間は、ヤシの実を齧ってでもその兵隊を使って頑張ってくれ。いいか、重ねて言うが、玉砕は絶対に許さん。わかったな」と日本軍の戦陣訓を全否定する訓示を受けている[
小野田寛郎 – Wikipedia
その命令通り、終戦の事実を知りつつもなお30年間も戦闘を続けたのはすごいところです。
日本という国家がアメリカの属国になり、満州あたりに亡命して亡命政権があると信じて戦い続けたらしい。
上記の書籍を読んでみると詳しいです。
紆余曲折があり、直属の上官からの命令が正式に出され、やっと武装解除したのが1974年のことです!戦争終結から実に29年間も後です。
僕の持っていた戦争・陸軍に対してのイメージとはまったくことなり、異常に興味を持った覚えがあります。
【映画】陸軍中野学校の特徴
戦争を扱った作品には、力と力の対決を描いたものや、その裏で繰り広げられる人間ドラマが多い。
そんな中で、本作品は諜報にスポットライトを当てた異色の作品です。
ちょっと乱暴な言い方をするとスパイ映画のようなものです。
主人公は三好次郎(みよしじろう)。
演じているのは、大映の大スターで若くして亡くなった俳優の市川雷蔵(いちかわらいぞう)。クールな役柄はハマり役。
もっとも、作中では家族との縁さえも断ち、名前も椎名次郎(しいなじろう)を名乗っています。
三好次郎という名前はほとんど出てこないのですが、作中で大学時代の友人と出会い、「三好か?」という話になるシーンがある。カンの良い方はお気付きかと思うが、だいたいそういう役の人はだいたいひどい目にあう。。
スパイという職業柄、商社員や外国人を装ったりする。陸軍軍人とバレては諜報もヘッタクレもないので、長髪も許されており、軍服も着ずスーツを着ている。(むしろ軍隊っぽいかっこうは禁じられている)
むしろ逆に、陸軍内でお前は軍人か?と言われることすらある。。。
暴力的な描写は非常に少なく、拷問のシーンも演出はかなり控えめだ。グロい描写が嫌いな方にもおすすめできる。
全5作すべて90分程度と適度な尺で飽きないストーリーなので、暇つぶしにも最適。知的好奇心もくすぐられる内容で飽きが来ない。
実際、一気に5作全部観てしまいました。
1作目-陸軍中野学校
陸軍中野学校の設立から第一期生の教育の現場が舞台となっている。
スパイとは何たるか?について基本的なことから説明されている。上手い具合にチュートリアル的な役割を果たしていて、その後のストーリーもすっと頭に入ってくる。
例えば、スパイは、いかなる拷問を受けても組織の機密を漏らしてはならない。拷問に使われる道具や薬品について授業で説明されている。そして、自分がスパイであることがバレ、決定的な証拠を見せつけられたときは「死ね」と教えられている。
実際のところ、作中でも、スパイが自殺するシーンが多数ある。
人並に仕事をして結婚して幸せを掴む権利が軽視され、国家・組織への忠誠心を叩き込まれるところがなんだか観ていて切なくなった。
ラストは泣けた。。
2作目-陸軍中野学校 雲一号指令
第2作目からは、スパイの実践編になる。
大型軍用船が何者かによって爆破され、その犯人を捜すというストーリー。
少々ネタバレさせるが、陸軍軍人がハニートラップを仕掛けられ機密を漏らしてしまう、スパイ映画には典型的な内容。
スパイは成功しようが失敗しようが、戦争が終わったからといって「私は以前スパイでした」なんて暴露するわけはない。
ゾルゲ事件の場合はスパイであることがバレて事件になったからこそ明るみに出てるだけで、戦争中にはスパイはもっといたのではないか?と思われる。
3作目-陸軍中野学校 竜三号指令
第3作は舞台は中国へ。
日本は、中国での和平工作を施策するが、何者のテロにより妨害される。
市川雷蔵は、中国人に扮し犯人を捜すという国際スパイを演じる。
第1作目でも説明されているが、スパイは複数の言語を話し、複数の職業(プロフェッショナル)をこなすことができなければならない。
バレたら逮捕、拷問を受け、最終的には死ぬ可能性すらある。(むしろ、死ぬ可能性は高い。)
大学出の20台前半の男性がこれほどまでに重い職務を負わされるのが、今の時代の感覚では想像が難しい。
日本は、陸軍が満州事変を画策し満州国を設立。陸軍は公務員であるわけだから、国の命令無しにこんなことをされるのは許されるはずはない。本来であれば軍法会議に掛けられ罰せられるはずだった。
しかし、罰せられることはなかったどころか、陸軍の主流になってしまった。その辺から、無理矢理にでも戦火を拡大しようとする強硬派が現れる。
ところが、中国のすぐ向こうにはソ連が構えており、アメリカとの対戦にも備えなけらばならないわけで、南方に資源を求める南進論などもあったわけだから、中国とは和平を交渉する動きがあったのも事実。
穏便派 vs 強硬派ってところは実際の歴史にもかなり近いのかなと。
椎名は中国人に扮し、捕らえられた杉本を助けるわけだが、まぁなんともかっこいい。
特殊なタバコを吸いながら、タバコの火の点滅モールス信号を送るシーンはまるで映画みたいだった。
まぁ、映画なんだが。。(笑)
4作目-陸軍中野学校 密命
いかにも陸軍中野学校っぽい。
椎名は。雲一号と竜三号での活躍により、椎名は出世しているわけだけれども、ストーリー序盤で憲兵に逮捕され牢獄に入れられる。
ところが、それは上官の草薙が、要人と近づけるための画策だった。
別組織とはいえ、憲兵をも欺いて職務に当たらされるところがいかにも陸軍中野学校。
若き日の野際陽子さんがめちゃくちゃ美人だった。
全編にわたり、ちょこちょこロマンスシーンやエロいシーンがあって、戦争ものっぽくないところがまたいい。
第4作目、意外な人物が犯人で、個人的には全5作の中で一番面白いと思う。
5作目-陸軍中野学校 開戦前夜
第5作目は、戦争がすぐそこに迫ってきている緊迫感 がすごい。
戦争決定を決めた会議が敵国スパイ連合に漏れ、その犯人を特定するというストーリー。
真珠湾攻撃陰謀説(しんじゅわんこうげきいんぼうせつ)は、1941年(昭和16年)12月8日(日本時間、現地時間は12月7日)の太平洋戦争(大東亜戦争)の開戦をさせた大日本帝国海軍の真珠湾攻撃を、アメリカ合衆国大統領のフランクリン・ルーズベルトが、「事前察知をしながらそれをわざと放置した」という説である。
真珠湾攻撃陰謀説 – Wikipedia
それだけ、太平洋戦争が情報戦だということを物語っているわけだが、本作はその緊張感を上手く表現するできているといえる。
前作までより多少暴力的なシーンが多く、アクションチックなシーンも増え、スパイアクションチックに仕上がっている。