【映画】ラストエンペラー

大清帝国の最後の皇帝にして満州国の皇帝となった愛新覚羅溥儀の生涯を題材にした歴史映画。

撮影は中国共産党の協力を得て、紫禁城を貸し切って行われているため臨場感がたっぷりある。

溥儀の生涯年表をwikipediaより引用する。

1906年:醇親王載灃の子として北京に生まれる
1908年:第12代清朝皇帝(宣統帝)に即位
1912年:辛亥革命により退位
1917年:張勲復辟により清朝皇帝に復位するも、12日後に再び退位
1919年:イギリス人のレジナルド・ジョンストンを帝師として招聘
1922年:正妻の婉容、側室の文繡と結婚
1924年:クーデターにより紫禁城から退去。ジョンストンが帝師を退任
1925年:イギリスやオランダ公使館へ庇護を要請するものの拒否され、天津日本租界内張園に移転
1931年:文繡と離婚。満洲事変勃発後、大日本帝国陸軍からの満洲国元首への就任要請を受諾し、日本軍の手引きで天津を脱出、満洲へ移る
1932年:満洲国の建国に伴い満洲国執政に就任
1934年:満洲国皇帝(康徳帝)に即位
1935年:初の外国訪問として日本を公式訪問
1937年:譚玉齢を側室とする
1940年:日本を再び公式訪問、最後の公式外国訪問となる
1942年:側室の譚玉齢が死去
1943年:李玉琴を側室とする
1945年:満洲国の崩壊に伴い皇帝を退位し、その後日本への亡命途中に、侵攻してきたソ連軍の捕虜になる
1946年:極東国際軍事裁判にソ連の証人として出廷する、正妻の婉容死去
1950年:中華人民共和国に身柄を移され撫順戦犯管理所に収容される
1959年:模範囚として釈放される。
1960年:政協第4期文史研究委員会専門委員に就任
1962年:李淑賢と再婚
1964年:政協全国委員に選出される
1967年:北京で死去

愛新覚羅溥儀 – Wikipedia

このように、物心ついたころには皇帝に即位させられる。幼少期から青年期までは、紫禁城に幽閉され腹黒い官僚たちに囲まれ利用されつつ過ごす。クーデターで紫禁城を追われたあとは、不安定な国際状況のなか租界に身を寄せるが列挙諸国はどこも保護してくれない。

ここに目をつけた関東軍が溥儀に目を付けたわけである。

満州国は五国協和のスローガンのもとに作られた理想国家だが、実際はそんな夢物語のひょうな国ではなかったようだ。

満州国については、キメラという書籍の記載がわかりやすい。

キメラとは、頭が獅子、胴が羊、尾が龍という空想上の怪物のことだが、満州国もそれに例えることができる。獅子は関東軍、羊は天皇制国家、龍は中国皇帝および近代中国にそれぞれ例えられている。

チグハグな国家の頭として置かれたというわけだ。

1932年に建国した満州国は、国際的には認知されておらず1945年の終戦とともに消滅。どういういきさつがあったにせよ、満州国は枢軸国側の日本の傀儡国家というのが一般的な見方。そのため溥儀も戦犯として裁かれ刑務所で過ごすことになる。

生まれてから死ぬまでほとんどが自分の自由な意思の利かないところで人生を過ごすことを余儀なくされた溥儀の生涯は本当に不憫だ。

だいぶフィックションや演出が入っていて史実とは異なる部分も多いらしいが、映画としては本当に素晴らしい。

音楽も評価が高く、アカデミー作曲賞を取っている。作曲者の坂本龍一さん、甘粕正彦役で出演していて良い味を出している。

 

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