最近、Audibleというオーディオブックを聴くサービスにはまっています。
【2019年】Audible(オーディブル) で聴いて良かった本もともと、僕は活字を読むのが苦手です。読んでいるとすぐに眠くなります。例えば、ドストエフスキーの「罪と罰」なんか読んだときには、ソッコーで眠くなりました。
Audibleで聴くと、活字を読むよりは楽しく聴けるんだけど、それでもつまらないものはつまらない。
ただ、抜群に面白かったのは、社会はブロガーちきりんさんと、プロ格闘ゲーマーの梅原大悟さんの対談本。
お二人の生い立ちは対照的で、学校優等生だったちりきんさんと、学校の授業では常に寝ていた梅原さん。何事も要領よくこなそうとするちきりんさんに対して、一つのことを深く深く突き詰める梅原さん。
予想に反して結論が食い違います。ちきりんさんは「結果が大事。ビジネスでは結果しか見られない。プロセスを大事と言っている人はプロセスに逃げる傾向にある。」という旨の主張。梅原さんは「結果よりプロセスが大事。勝てば良いという考え方では人の評価は得られない。」という主張。(音声で聴いたので、言葉のニュアンスは若干違うかもしれませんのでご了承ください。)
梅原さんは17歳でゲームの世界大会で優勝し、文字通り世界一となった人だ。勝負の世界で生きてきた彼がどうして結果よりプロセスが大事というのか。非常に興味深かった。
梅原さんは、大学も出ておらず、バイトをしながらゲームセンターへ通う生活を送っていたそうな。世界一になった後も周囲の目は変わらない。ゲーセンを出れば世界チャンピオンである梅原さんのことを知る人は稀。バイト先で、窃盗事件などがあった際には、まっさきに学歴の無い梅原さんが疑われたとのこと。
いまでこそ、プロゲーマーという職種が認知されはじめてきていますが、その道を切り開いたのはこの梅原大悟さんその人です。その梅原さんでさえ、一旦ゲームの世界から離れています。麻雀のプロを目指したり、介護職をしたりして、そののちにまたゲームの世界に戻ってきて、その後にプロゲーマーになりました。
梅原さんは、ゲーマーが社会的地位が低いことを痛いほどわかっていた人です。たとえ確実に勝てるという方法がわかったとしても、他人が納得のいかないような勝ち方をしたらいかないと心得ています。例えば、ゲームにはバグがつきもので、裏技的なものがあって絶対勝てるとします。そういう裏技的なものを追及し、勝ったとしても誰の信頼も得られないわけです。プロゲームの世界にもスポンサーがいて、ゲーム会社が必要不可欠です。そういうスポンサーがお金を出してくれないと、プロゲームの世界は成り立たない。
そのため、梅原さんは、ゲーム業界の盛り上がりを歓迎しつつも、ゲームの大会の賞金の高額化には安易に喜べないという。2015年に行われたカプコンカップで獲得した賞金を彼はなんと全額寄付しています。
先日行われた『ウルトラストリートファイターIV』世界大会「カプコンカップ ファイナルズ2015」にて準優勝した梅原大吾氏が、同大会での獲得賞金6万ドル(約727万円)を全額ニューヨーク大学に寄付したことが明らかとなりました。寄付金はゲームデザイン学科の奨学資金(EVO奨学金)に充てられるとのことです。
梅原大吾氏がカプコンカップでの獲得賞金6万ドルをニューヨーク大学に全額寄付 | Game*Spark – 国内・海外ゲーム情報サイト
その理由についても、本書で語られているのですが、彼は心底ゲームを愛していてゲームの面白さを広めるためにやっている。賞金が高額化したことにより、賞金目当てで大会に出るような人も増えるかもしれない。先ほど言ったように、そうすると勝ちのためには手段を問わないプレイヤーが増えたるする可能性も多いにあるわけです。梅原さんは、観客がそういうプレイを見たら盛り上がらないだろうことを身を持って知っているのです。
それにしても、梅原さんのゲームに対する向き合い方は誠実で好感が持てます。勝つことももちろん大事だけれども、自分が成長できるかどうかを常に考えている。本書内では「成長オタク」とまで言われています。
さて、僕が趣味でやっているダーツ業界にもなんだか通じることがありそうだw
強くてもなんだかつまらない試合があったり感心しない試合があったりしますよね。そういう方々にはぜひ梅原さんの書籍を読んで欲しいなと思ったりするわけで。
ただ、鈴木未来選手は、梅原さんに似たところがあるんじゃないかな?と思ったりします。今年鈴木未来選手は、世界チャンピオンになりましたが、ダーツ業界の社会的評価は上がっていくことでしょう。でもね、周りの人が足を引っ張らないか心配ではありますw
どうでもいいですけど、僕と梅原さんと鈴木未来選手は同じ学年です(笑)