満州は、1932年~1945年、満州(現在の中国の東北部)に存在した国家。
昭和史を勉強していると必ず出てくると言っても過言ではないのですが、最近は知らない人が多いです。
僕は東北の生まれで、いま40歳ですが、祖父が満州に住んでいました。東北の農家の次男坊なんかは、渡満した人が多いですね。
個人的に身近な話題でもあるのでまとめてみます。
まだコンプリートはしていませんが、観たものから順次まとめていきます。
目次
ラストエンペラー(1987)
清朝最後の皇帝で後に満州国皇帝となった愛新覚羅溥儀(あいしんかくらふぎ)の生涯を描いた映画。
1988年のアカデミー賞を9つも受賞したすんごい映画です。
坂本龍一さんが作曲賞を受賞しております。
また、坂本さんは甘粕正彦役で役者としても登場しております。意外かと思われますが、「戦場のメリークリスマス」(1983)にも出演しているので、俳優でもあるわけです。
中国共産党政府に全面協力を得て紫禁城を貸し切って撮影されているので臨場感たっぷりです。
日本の映画だと、政治的な絡みで中国でロケできない場合があり、国内の別の場所で撮影されていることが多かったりします。※なぜかみなさん英語で話しているのは突っ込まないことにましょう。。。
物心ついたころには清国の皇帝にさせられ、臣下には騙され、大人になったころには日本軍に担ぎ上げられ満州国の皇帝にさせられ、戦争に振り回された人生にはある種の同情を感じます。
ラスト、しみじみと泣けます。
人間の條件(1959~1961)
五味川純平さんの同名小説を原作とし映画化した作品。
自らの従軍体験を基にしています。五味川さんは実際に招集を受け、満州の部隊に所属しおりました。ソ連軍の満州侵攻時は、所属部隊はソ連軍部隊の攻撃を受け全滅に近かったそうな。
小林正樹監督も招集されておりソ連国境警備にあたった経験があります。
このことからもわかるように、バリバリの戦中派の映画です。実際に経験したことを元にしているだけに、細かい描写がめちゃくちゃリアルです。戦後派の映画とは比べ物もならないリアリティですので、そこは肌で感じてみてください。※特に、軍隊生活だったり、ピー屋の描き方はその当時を知っている人でないとこうはいかないと思います。
9時間31分という、商業映画としてはものすごい長さでギネスブックに掲載されていたこともあります。むちゃくちゃ長いわりには、作品としてレベルが高く役者さんも素晴らしい演技なので、退屈しません。
作品は、第1~第6話までの六部構成で、一応話の区切りがついているので1話づつ観ていっても良いと思います。なにせ長いので。。
第1部と第2部⇒満州の製鉄所で捕虜の労務管理をしているときの話。日本人がやたら威張っていた時代です。
第3部と第4部は満州での軍隊生活の話。軍隊という閉鎖的なコミュニティでのいじめが今の人にも通じそうなところがあります。ソ連との戦闘シーンもあります。
第5部と第6部はソ連軍から敗走する話と自らが捕虜となる話。敗残兵という惨めな身分になるわけです。
こんな感じす。
戦争と人間(1970~1973)
こちらも、五味川純平さんの同名小説を映画化した作品。
人間の條件は、一人の人間としての主人公梶の物語といった感じですが、こちらはもうちょっとスケールがでかいです。
戦争大河ドラマと言われたりもします。
1928年(昭和3年)の張作霖爆殺事件前夜から1939年(昭和14年)のノモンハン事件までを背景に、歴史的事件を説明しながら詳しく進みます。原作は、ノンフィックション作家の澤地 久枝さんが資料助手を務め、ファクトチェックしているのでわりと正確な記載が多いです。
※南京事件の死者数などは若干あやしいですが。いまだに争いがありますので。。
731部隊の話も出てきますし、アヘンビジネスの話も出て来てきますし、満州国とはなんたるか?を知るにはこんなに良い映画はありません。
キャストも豪華で、滝沢修, 芦田伸介, 高橋悦史,浅丘ルリ子,吉永小百合, 北大路欣也,高橋英樹, 三國連太郎, 中村勘九郎(五代目), 石原裕次郎,加藤剛,江原真二郎と、有名な俳優さんばかりです。
消えた中隊(1955)
「五人の斥候兵」「土と兵隊」等の名作を送り出した日活が、戦後初めて世に問う戦記作。
「五人の斥候兵」「土と兵隊」と言えば、国策映画で、戦争を支持する側の立場から描かれた作品。
対して、こちらは戦争とは反対する立場に代わっている。
1955年と、戦争の記憶がまだ薄れる前の作品なので、リアリティは半端ないです。
ソ満国境付近の中隊の軍隊生活のリアルなところを肌で感じとれる作品かと思います。辰巳柳太郎さんの演じる香川大尉がいかにも日本人将校という感じです。